
Q&A
免責事項
当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、個別の案件につきましては、専門家にご相談ください。
当Q&Aの内容は、作成時の法令等を基に作成しております。このため、当Q&Aの内容が最新の法令等に基づいているかどうかは、利用者ご自身でご確認ください。
【問】当社は建設業ですが、このたび同業数社で介護に関するモデル展示を行うショールームを設置することになりました。このショールームはA市の所有する建物内に設置するもので、広く一般市民に公開されるものです。年会費の他に参加一時金200万円を支出します。この参加一時金の取り扱いはどうなりますか。
【答】ご質問における参加一時金は、法人税法上の繰延資産における共同的施設の設置費用に該当すると思われます。また、このショールームは参加企業のためだけでなく、一般市民に公開されるものとのことですから、原則5年間で償却していくことになります。ただし、その施設の耐用年数が5年未満である場合には、その耐用年数で償却することになります。
【問】役員辞任の前日に退職金を支払っても良いですか。
【答】退職の事実がなければ、前日に支払った金額は退職金とは認められないと思います。ただし、前日に支払った金額を仮払金とし、辞任した日に退職金に振り替えて会計処理することは認められると思います。ちなみに、退職と同日に支払うものは認められます。 仮払金処理する場合、実務上、以下のようにしたら良いのではないでしょうか。 ①辞任の届けは前もって提出され、退職日を明記する。 ②取締役会で承認された役員退職金規定に基づき金額が決定されている。 ③仮払金として支払った際に、領収書も仮払金として入手する。 ④退職日付で仮払債権と退職金との相殺をする領収書又は覚書を交わす。 ⑤後日、すぐに退職金を株主総会で追認する。 (参考法令)法基通9-2-28
【問】建設業の会社です。このたび事業譲渡をすることになりました。その際転籍者の退職金相当額を授受しますが、その金額はいわゆる退職給付債務の金額でよろしいですか。 また、未完成工事については将来譲渡後の会社で完成したときに利益が計上されるので、発生した原価のほか手数料を授受しますが、その金額は以下のような考え方で計算した金額でよろしいですか。 ①未着工現場 1棟あたりの受注に要した費用(広告宣伝費+営業マンの人件費)など ②着工済みの仕掛現場 1棟あたりの(予想粗利益-受注に要した費用)× 工事進捗度
【答】転籍者の退職金相当額については、退職給付債務が合理的に計算されたものであれば問題ないと考えられます。 未完成工事の手数料については、 ①未着工現場 譲渡会社においては原価が発生していないのであれば、受注に要した費用相当額が回収されれば合理的と考えられます。したがって、上記の金額で問題ないと考えます。 ②着工済みの仕掛現場 譲渡会社においては原価が発生しているので、最低限、「原価+受注に要した費用相当額」が回収されれば合理的と考えられます。したがって、合理的な金額と考えられます。
【問】当社は建設業を営む法人です。「受注紹介キャンペーン」を実施し、紹介者への謝礼として海外旅行に招待することになりました。課税される交際費にならないようするには。
【答】まず「情報提供料」として取り扱えないか検討してください。租税特別措置法の通達(61の4(1)-8)があるので、あらかじめこの通達のすべての条件を備えておく必要があります。たとえば、チラシ、事務所での掲示等により、事前に企画内容が公表してあり、旅行(謝礼)が紹介内容に照らして妥当であることなどが必要です。 次に、「通達で言う金品」の代替が「海外旅行」であることについて、疑問をもたれないように、都合で旅行に参加できなかった対象者にも同等の支払いがあるなど、旅行(謝礼)の金額を明示しておくこと、紹介の記録をきちんと残しておくことも重要です。 紹介者の側では、旅行(謝礼)の金額は雑所得になるので、人によっては申告が必要になります。紹介者が社員の場合には、旅行(謝礼)は給与・賞与として課税され、源泉徴収する必要があります。社員の家族が紹介者なら、給与課税は不要となります。成績の良かった社員の順に、海外旅行に参加するなら、給与・賞与として課税され、源泉徴収する必要があります。なお、税法の解説書によれば、会社が交際費と認識して処理をすればあえて給与課税はしないだろうとの解説もあります。しかし、この場合は外部の紹介者の分も交際費とされる恐れがあります。 社員がその旅行に同行する場合には、参加する社員の人選が恣意的であったり、引率すべき立場の者だけでなく役員が多く参加する状況などがあると、単なる招待旅行の性格が強まり交際費の性格を帯びてくることになります。 会計処理について、建設業等で個別工事との関連性が強いケースでは、このような紹介料(受注した)は、受注関連費用として工事原価に算入されます。なお、3月決算の会社で、旅行の実施が4月以降であれば、会計上は原価に計上されるものでも、税務上は別表加算して、旅行の実施があった年度での損金処理となります。
【問】被合併法人の取締役の退職金の追加支給をしたいが、認められますか。
【答】特段の理由がない限り、退職給与の追加支給は認められません。 取締役の退職給与の追加支給には正当な理由が必要です。単に支給済みの退職金の額が本人の功績に較べて低すぎるというような場合は、正当な理由に該当しないものと思われます。 仮に支給済みの退職金に勤続年数の計算誤りがあったため支給額が過小になっており、支給後に本人から年数の誤りの申し出があったようなケースでは、正当な理由として認められるものと思われます。 その場合、被合併法人はすでに消滅しており合併法人の取締役会等で決議することはやむを得ないものと思われます。 ただし、合併契約書に反しないことが前提となります。
【問】当社が賃借している事務所の床に、貸主の了解を得てOA化対応のフロア工事を実施しました。工事費用の取扱いはどうなりますか。
【答】賃借している建物に借主が改良工事を行った場合は、その改良工事の費用は借主の資産とし、借主側で減価償却を実施することになります。 また、借主が減価償却費を計算する場合の耐用年数は、その改良工事が建物本体に対して行われたものであるか、又は、建物附属設備に対して行われたものであるかにより異なります。通常、床は建物の範囲に含められますので、ご質問の場合の耐用年数は、当該建物の耐用年数や、その改良工事の種類、用途、使用材質等を勘案して合理的に見積もることになります。 改良工事が建物附属設備についてなされたときは、建物附属設備の耐用年数により償却することになります。 当該建物について賃借期間の定めがあるもの(賃借期間の更新が出来ないものに限る)で、かつ、有益費の請求又は買取請求をすることができないものについては、当該賃借期間を耐用年数とすることができます。 改良工事費用の負担について、仮に、貸主と借主の間で取り交わされた覚書等で、当該改良費用を借主から貸主へ贈与する旨の記載がある場合においては、当該改良費用が寄附金として認定される恐れがあります。
【問】住宅の建築会社です。受注成約キャンペーンとして一定期日までに着工可能なお客様に対して月額3万円の住宅ローン返済助成(3年間)をします。法人税法上の扱いはどうなりますか。
【答】請負契約書の特約条項として定めるならば、実質的に請負金額の値引きと考えられますので、108万円(3万×12ヶ月×3年)を売上高からマイナスして、長期未払金を計上します。
【問】当社は製造業を営む法人です。当社所有の上場株式を、社内の希望者に役員・社員を問わず一律で相場の1割引にて譲渡する予定です。税務上の扱いはどうなりますか。
【答】譲渡の相手方が役員であるか社員であるかによって取扱いが異なります。 まず、法人税の所得計算では、時価と実際の譲渡代金との差額(質問の場合、時価の1割)を、その相手方に給与として支給したものとして取り扱われます。 次に給与の支給とされた金額ですが、臨時的な給与でありますから、相手方が役員の場合は法人税の所得計算上、損金となりません(定期同額給与にならないためです)。相手方が社員の場合は損金となります(源泉徴収が必要です)。 譲渡を受けた役員・社員の側では、時価と実際の譲渡代金との差額が給与所得の収入金額に加算されます。
【問】当社は建設業を営む法人です。当社が建築した施主(個人)の建物を利用して現場見学会を行い、見学後、お客様が成約となった場合、施主に謝礼として商品券を支払います。交際費になりますか。
【答】謝礼について、金額や具体的な支払条件などをあらかじめ施主と契約しておくなど租税特別措置法の通達61の4(1)-8の「情報提供料」のすべての条件を備えていれば、交際費には該当しません。 次に、消費税については、商品券を役務の提供の対価としての支払に充てるため、課税仕入れとなり、その商品券の額面額が仕入税額控除の対象となります。 また、会計処理は、受注獲得後に発生した直接原価に該当し、工事原価として処理すべきものと思われます。
【問】当社は住宅販売会社です。展示場用にメーカーから取得価額60万円のシステムキッチンをキッチンリフレッシュキャンペーン価格の5万円で譲り受けました。いくらで資産に計上すればよろしいですか。
【答】ご質問のシステムキッチンはメーカーの広告宣伝用資産に該当します。通常資産の低廉贈与であれば60万円と5万円の差額である55万円が受贈益になり、60万円で資産計上する必要がありますが、広告宣伝用資産についてはメーカーの宣伝効果が含まれていることから純粋な贈与とはいえず、受贈益の計算はメーカー取得価額の2/3相当額から、「取得のために支出した金額」を控除した金額とすることが認められています。(基通4-2-1)よって、受贈益は40万円と5万円の差額である35万円となり、資産計上額は以下のようになります。 〔税抜処理〕 器具備品 397,620円(注1) 現金預金 50,000円 仮払消費税 2,380円(注2) 受贈益 350,000円(注3) (注1)600,000円×2/3-50,000円×5/105=397,620円 (注2) 50,000円×5/105=2,380円 (注3) 600,000円×2/3-50,000円=350,000円 資産を低額譲渡した場合の消費税は、受贈益に該当する部分は無償取引と同様であり課税対象になりますが、支出負担した部分については課税仕入れとなります。 〔税込処理〕 器具備品 400,000円(注1) 現金預金 50,000円 受贈益 350,000円(注2) (注1)600,000円×2/3=400,000円 (注2)600,000円×2/3-50,000円=350,000円〈547字〉 広告宣伝用の看板、ネオンサイン、どん帳のように、専ら広告宣伝の用に供される資産については、その価額にかかわらず、受贈益はないものとして取り扱われます。 受贈益の金額(同一のメーカー等から2以上の資産を取得したときは合計額)が30万円以下であるときは、経済的利益の額(受贈益)はないものとされます。 メーカー側の処理(税込処理の場合)は、贈与等をした金額(60万円-5万円=55万円)を税務上の繰延資産とし(基通8-1-8)、法定耐用年数の7/10の年数(1年未満の端数を切り捨て、5年を超える場合は5年)で償却します。(基通8-2-3) 資産を低額譲受した場合の消費税は、受贈益に該当する部分は無償取引と同様であり課税対象外になりますが、支出負担した部分については課税仕入れとなります。
【問】当社は建設業を営む法人です。戸建ての請負契約を締結した施主に対する現場見学会・モニター費用の支払は交際費になりますか。
【答】請負契約を締結した物件について建築中および完成後に現場見学会を開催したり、完成後一定期間アンケート調査に協力してもらうことを約した施主への謝礼については、謝礼がその内容に対して不相当に高額の場合には、交際費とされるおそれがあります。 しかし、戸建ての請負契約書に契約の条件として内容と金額を明示してある場合は、交際費ではなく実質的な値引きであるとの主張ができるものと思われます。
【問】3階建てのビルを賃借し、営業所を開設しました。賃貸契約は契約期間10年、更新可能です。営業所開設にあたって支出した、内部造作工事等の処理は、どのようにしたらよろしいでしょうか。
【答】他人の建物に造作した支出であっても、減価償却資産に計上しなければなりません。賃借人の施工した内部造作は、賃借人が占有し使用収益するものであって、賃貸人が使用収益するものではありません。また、その処分権も賃借人が有していますから、所有権は賃借人の側にあります。 処理にあたっては、まず、支出内容から、建物附属設備、構築物、工具器具備品等の区分を判断し、それぞれの耐用年数を適用します。 建物附属設備のうち、電気設備や、給排水・衛生・ガス設備等の区分に馴染まない内部造作については、耐用年数を見積ることになりますが、見積ることが不可能な場合は、建物附属設備の耐用年数として認められている最長の耐用年数である「18年」の耐用年数によることも認められているようです。
【問】P社は、子会社S社を吸収合併することになりました。社長は同一人物A氏が兼務しており、合併会社の社長は引き続きA氏のままです。さて、S社消滅に伴い、S社でA氏にS社社長退任に伴う退任慰労金を支給する予定ですが、法人税法上は、損金として認められますか。
【答】認められます。 合併時に消滅会社役員で引き続き存続会社役員となる場合は、消滅会社役員の地位は引き継がれず、新たに存続会社側での役員選任手続きが必要となります。その場合、法人税法上、被合併法人が支給する消滅会社役員退任に伴う退任慰労金は、支給額が相当であれば、損金算入が認められます。(法基通9-2-33) さらに、法人税法上、被合併法人が支給する消滅会社と存続会社の役員を同時兼務している場合であっても、消滅会社役員退任に伴う退任慰労金は、支給額が相当であれば、損金算入が認められます。(法基通9-2-34) 今回の場合も、A氏は合併によりS社の社長を退任したことになるため、S社社長退任に伴う退任慰労金は、支給額が相当であれば、損金算入が認められます。 (参考法令) (被合併法人の役員に対する退職給与の損金算入) 9-2-33 合併に際し退職した当該合併に係る被合併法人の役員に支給する退職給与の額が合併承認総会等において確定されない場合において、被合併法人が退職給与として支給すべき金額を合理的に計算し、合併の日の前日の属する事業年度において未払金として損金経理したときは、これを認める。 (合併法人の役員となった被合併法人の役員等に対する退職給与) 9-2-34 9-2-33は、被合併法人の役員であると同時に合併法人の役員を兼ねている者又は被合併法人の役員から合併法人の役員となった者に対し、合併により支給する退職給与について準用する。
【問】辞任予定の役員の退職金を先に株主総会で承認して支給してよいでしょうか。
【答】現時点でまだ辞任していない役員に対する退職金であるなら、株主総会で承認したとしても、支給は辞任後にするのが原則です。 なお、そのような辞任前の株主総会の事前決議が、会社法上において有効かどうかについては、疑義のあるところです。
【問】当社は建築会社です。個人住宅の改築工事を行いましたが、その工事代金300万円が10年以上支払われず滞留しています。相手先の施主自身は数年前より行方不明になっており、残された家族は生活困難の状況です。当社としては、債権回収は困難と判断し、貸倒れ処理をする予定です。この貸倒れは、法人税法上、損金として認められますか。
【答】債務者の破産等の法的手続がなされていない場合の貸倒れはいくつか方法がありますが、書面による債権放棄通知を行う処理が無難です。 貸倒れの規定には、債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかな場合の貸倒れ(法基通9-6-2)や、債務者へ債務免除の書面通知による貸倒れ(法基通9-6-1(4))などがあります。質問の場合、貸倒れを法的に確実にするため、後者がよいと思われます。 但し、法基通9-6-1(4)の損金算入のためには、①債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、② 債権の弁済が受けられない状況下で、③債務者へ債務免除の書面通知をすることが必要です。 ご質問の場合、債務者の家族から、数年前より債務者が行方不明になり残された家族の生活困窮を理由とする債務免除依頼書を提出してもらい、その上で債権放棄通知を出す処理などが考えられます。 ちなみに、取引停止後1年以上経過した場合に備忘価額を残して残額を貸倒れ処理する規定(法基通9-6-3(1))は継続取引先であることが条件のため、今回のような不動産取引には適用できません。
【問】当社の株式はA、B法人がそれぞれ50%ずつ所有しています。今回、株主割当増資により新株を発行しましたが、B法人が権利を放棄し、半分が失権株となってしまいました。この場合、A法人にとって何らかの課税上の問題はありますか。
【答】有利な発行価額の場合、失権株が生じた理由によってはA法人に受贈益課税が行われる可能性があります。 株主割当増資により新株を発行する場合、有利な発行価額であっても、持株割合に変動が生じない場合には、原則として課税関係は生じません。また、失権株が発生し持株割合に変動が生じても、時価発行であれば株主間の利益移転の問題は生じません。 しかし、有利な発行価額で、かつ、失権株により持株割合が変動する場合には、株主間の利益移転の問題が生じます。失権株が生じる理由は様々であり、その全ての場合において株主間贈与があったものと断定はできませんが、例えば、A、B法人が関係会社など特別な利害関係があり、これらの一連の行為が株主間での利益供与を目的としたものであれば、受贈益課税が行われる可能性があります。 (参考法令)法令119①4、法人税基本通達2-3-8
【問】ショールームや展示場に展示して、半年後には施主等に売却する予定の家具等は、棚卸資産になるのでしょうか?又は固定資産になるのでしょうか。
【答】家具等を設置する目的等によって、取扱いが異なることになります。 展示期間が比較的短期間であって、展示終了後、販売されるものは、棚卸資産として取り扱われます。 広告宣伝の用に供され、展示終了後、他の展示場等で改めて使用されるようなものは、固定資産として取り扱われ、備品の耐用年数で減価償却することになります。
【問】当社は、住宅の建設・販売を営む法人です。このたび当社の属する企業グループの各社や取引関係のある家電販売店などの従業員を対象にして、「受注紹介キャンペーン」を実施し、紹介された顧客が成約に至った場合には、紹介者に対して2泊の宿泊温泉旅行(15万円)の特典を付与することになりました。このキャンペーンについては、あらかじめ各社にチラシを配布するとともに、ダイレクトメールにより周知を図る予定です。この場合、特典の旅行費用等は課税交際費となりますか。
【答】顧客の紹介者(紹介を業としていない)に謝礼を支払う形態は、情報提供の対価として金品を交付する場合に該当しますので、租税特別措置法の通達(61の4(1)-8)の要件を満たしていれば、販売促進費として損金に計上できるものと考えられます。今回のケースでは、チラシ、ダイレクトメールにより、対象者に対して事前に特典の内容を周知し、その金額も紹介内容に照らして妥当と思われますので、課税交際費には該当しないものと考えます。 ただし、情報の提供の対価が「温泉旅行」となっていることについては、「金品」でないとの疑問をもたれないよう、旅行クーポン券として渡すのが最も良いといえます。仮にクーポン券での支給が困難であれば、現金払いとの選択制にしておくなどが考えられます。少なくとも旅行(謝礼)の金額をあらかじめ明示しておくことは必要と思われます。 紹介者の側では、旅行(謝礼)の金額は雑所得になるので、人によっては申告が必要になります。 社員がその旅行に同行する場合には、参加する社員の人選が恣意的であったり、引率すべき立場の者だけでなく役員が多く参加する状況などがあると、単なる招待旅行の性格が強まり交際費の性格を帯びてくることになります。 会計処理について、建設業等で個別工事との関連性が強いケースでは、このような紹介料(受注した)は、受注関連費用として工事原価に算入されます。
【問】期中に取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産について、一括償却資産として費用処理したものを、除却損を計上するために同一事業年度内の期末に資産計上して通常の償却方法に変更することは可能でしょうか。
【答】可能です。税法上では、一括償却か通常の償却方法かを選択できる場合、通常1単位として取引されるその単位ごとに選択します。 仮に前事業年度末に一括償却を選択していた場合は、今期中に除却したとしても除却損を計上することはできません。償却資産について償却方法を申告書で別表に記載しなければ原則的方法である通常の償却方法を選択することになります。 逆に、一括償却の適用を受けるためには申告書に一括償却対象額の記載があり、かつ、その計算に関する書類を保存していることが必要です。つまり、償却方法は期末に選択するものであるから、期中の「変更」とは言わず、問題なく除却損を計上することができます。
【問】税務署長の承認を受けて、減価償却資産の償却方法を旧定率法から旧定額法に変更した場合、定率法から定額法に変更した場合の償却限度額はどのように計算するのでしょうか。
【答】変更後の償却限度額は、(1)の取得価額又は残存価額を基礎として、(2)の年数に応ずる償却率により計算します。 (1) 取得価額又は残存価額 ①旧定率法から旧定額法に変更した場合 (平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産) 変更した事業年度期首の帳簿価額を取得価額とみなし、実際の取得価額の10%相当額を残存価額とします。 ②定率法から定額法に変更した場合 (平成19年4月1日以後に取得した減価償却資産) 変更した事業年度期首の帳簿価額を取得価額とみなします。 (2)耐用年数は、減価償却資産の種類の異なるごとに、法人の選択により、次の①又は②に定められる年数によります。 ①その減価償却資産の法定耐用年数 ② ①の年数から、変更した事業年度開始の日における帳簿価額を実際の取得価額をもって除して得た割合に応ずる①の年数に係る未償却残高割合に対応する経過年数を控除した年数(最低2年とします。) 未償却残高割合は、耐用年数の適用等に関する取扱通達の付表7(1)「旧定率法未償却残額表(平成19年3月31日以前取得分)及び付表7(2)「定率法未償却残額表(平成19年4月1日以後取得分)」に示されています。 例えば、取得価額1,000万円、変更時の帳簿価額250万円、法定耐用年数8年の場合、変更後の耐用年数は以下のようになります。 変更時の帳簿価額÷取得価額=250万円÷1,000万円=0.250 ①旧定率法から旧定額法に変更した場合 「0.250」は旧定率法未償却残額表によると、「耐用年数8年」の欄の0.316と0.237の間ですから、下位の0.237に応ずる5年が経過年数となり、耐用年数は3年(8年-5年)になります。 ②定率法から定額法に変更した場合 「0.250」は定率法未償却残額表によると、「耐用年数8年」の欄の0.324と0.223の間ですから、下位の0.223に応ずる4年が経過年数となり、耐用年数は4年(8年-4年)になります。
【問】K社から営業譲渡により、工事契約(戸建住宅の建築に関する工事請負契約)を引き継ぎましたが、その後解約となりました。この場合、K社に対して工事契約の譲受けに際して支払った対価(完成時の粗利益を加味して算定)の返金を求めるべきでしょうか。税務上、留意すべき点について教えて下さい。
【答】対価の返還を求めるべきか否かは、解約に至った事実関係により以下のように考えます。 ①工事契約の解約に至った原因が、譲渡した側のK社にある場合(譲渡時点で既に解約となる要因があったと考えられる場合)には返金を求めるべきであると思われます。逆に、②解約の原因が、専ら譲渡後の譲受会社の対応等に原因がある場合には、返金を求めるべきではないと思われます。 税務上、①のケースで返金を求めなかった時には、本来返金を受けるべき金額(譲受会社では解約損失として計上されていると思われる)につき、K社に対する交際費等とみなされる恐れがあります。
【問】吸収合併をした被合併法人の役員退職金を、合併法人が支給した場合、合併法人側で損金処理はできるのでしょうか。
【答】現在では合併法人において損金処理はできないものと思われます。平成13年度税制改正前の旧法人税基本通達4-2-11(注)では、被合併法人において役員退職金の支給額を合理的に見積もることができない場合であっても、そのことについて特別な事情があれば、合併法人において具体的な金額が確定した事業年度に損金として経理できる旨の規定があり、損金処理ができました。しかし改正時にこの規定は踏襲されないものとして削除されました。 旧法人税基本通達4-2-11は、現在では法人税基本通達9-2-33に変更されています。この通達の内容は、被合併法人の役員退職金を被合併法人の合併承認総会等で確定されない場合においても、被合併法人が金額を合理的に計算し、合併の日の前日の属する事業年度において未払金として損金経理したときは、これを認めるというものです。旧通達ではその注書きとして、上記の記述がありました。
【問】グループ会社に対する余剰資金の預け金は貸倒引当金の対象となる貸金に該当しますか。
【答】貸倒引当金の設定対象には該当しません。 親会社や子会社などで構成されるグループ企業の間で、余剰資金のあるグループ企業から資金を吸収し、資金を必要とするグループ企業に低利で貸し付けを行う資金プーリングといわれる制度があります。 この制度にもとづく各会社の余剰資金の預け金は資金の寄託であり金銭債権に該当しません。金銭債権に該当しないものは貸倒引当金の設定対象とはなりません。 (参考法令)法人税基本通達11-2-18(2)
【問】当社は、法人契約で役員・従業員全員を被保険者とし、給付金の受取人を会社とする医療保険に加入しています。 過日、役員が入院し、会社が受け取った入院給付金をそのまま見舞金として当該役員に支給しましたが、その支給額が当社の慶弔見舞金規程に定める額を超えています。この場合、課税上どのように扱われますか。
【答】規定を超える額は、役員賞与として給与課税の対象になるとともに、法人税においては損金不算入となります。 ご質問のケースでは、保険会社から受け取った入院給付金と、規程により役員に支給した見舞金の額が不明ですが、仮に、給付金100万円を受け取り、同額を役員本人に支給する一方で、規定に定める見舞金の額が5万円とすると、95万円が当該役員の給与課税と損金不算入の対象になります。 通常、被保険者が受け取る入院給付金等は「身体の傷害に基因して支払いを受けるもの」に該当し非課税となりますが、本ケースのように法人が受取人として受け取った給付金等を見舞金として役員や従業員に支払う場合、「社会通念上相当とされる範囲」の金額を超えた部分は課税の対象となります。会社が慶弔見舞金規程を定めている場合は、規定を超える部分が課税とされ、規定がない場合はまさに「社会通念」により妥当な金額が判定されることになります。 なお、法人は受け取った給付金等を雑収入等として計上しますが、この収入は消費税では「不課税収入」となり、課税売上割合の算定から除外されます。
【問】従業員が商品を横流ししたため、損害賠償金を請求することになりました。この損害賠償金の収益計上時期は、どのようになるのでしょうか。
【答】法人税基本通達2-1-43は適用できず、個々の事案の実態に基づいて処理することになると思われます。 今回のケースでは、従業員の商品の横流しが個人の行為であれば、従業員に対し未収入金を計上して、回収可能性を検討することになります。これらの行為が法人としての行為であれば、損害賠償金は請求できません。 法人税基本通達2-1-43では、法人が他の者から支払を受ける損害賠償金については、その支払を受けるべきことが確定した事業年度に収益計上するのが原則としながらも、法人が実際に支払を受けた時点で収益計上することとしているときは、税務上もこれを認めることとしています。しかし、その法人の役員や使用人の横領等による損害賠償請求権等については、この通達の適用には問題があるとされています。理由は例えば役員の場合には、その行為が個人的なものなのか、それとも法人としてのものなのか峻別しにくいケースが多いことからです。したがって個々ケースごとに判断することになります。
【問】展示場の建物を建設しましたが、2年後には取り壊すことが決まっているので、2年間で減価償却することは可能でしょうか。
【答】会計的には2年間で減価償却すべきですが、法人税法上は7年間で償却しなければなりません。 耐用年数の短縮は所轄国税局長の承認を受ければ可能ですが、使用可能期間が法定耐用年数に比べ短くなった場合に限られており、使用予定期間が短くなっても短縮の承認は受けられません(法法31⑥,法令57①,法規16)。使用可能期間が短くなると認められる事由は、物理的、客観的事由であり、法人税法施行令で列挙されたものは以下の通りです。 ①材質又は製作方法が通常のもとと異なる ②地盤隆起又は沈下 ③陳腐化 ④著しく腐食 ⑤著しく損耗 ⑥通常の構成と著しく異なる 展示用モデルハウスは仮設の建物に該当し、耐用年数は7年が適用されます。(昭和54直法2-4)
【問】建築会社が支払う顧客の紹介報酬料を交際費としないためにはどうしたらよいか。情報提供者と、その都度覚書を作成しているがもっと簡便な方法はないか。
【答】建築会社が見込み客の紹介をたまたま受けた場合に、情報の提供者へ行う謝礼は、社交儀礼的なものと考えられ、交際費となります。 しかし、情報提供を行うことを業としていない者(法人の従業員に対するものは除く)に対して情報提供の対価として金品を交付した場合でも、例えば次の要件のすべてを満たしている場合には、その交付に要した費用は交際費に該当しないとされています。 (1)その金品の交付があらかじめ締結された契約に基づくものであること。 (2)提供を受ける役務の内容が当該契約において具体的に明らかにされており、かつ、これに基づいて実際に役務の提供を受けていること。 (3)その交付した金品の価額がその提供を受けた役務の内容に照らし相当と認められること。 なお、情報提供料を行うことを業としている者に対して支払う対価は、正当な取引の対価としてのものであれば、「手数料」として交際費にはなりません。 ご質問の法人は、上記の要件を満たすために顧客の紹介を受けるにあたって覚書を作成されているのは望ましい事ですが、この契約は必ずしも覚書等の形で作成されたものである必要はありません。あらかじめ店頭での掲示や広告によることも、契約に基づくものとして認められており、このような掲示の方法により簡便に行うことも可能と思われます。
【問】インターネット上に自社の広告宣伝用のホームページを開設するため、専門業者に製作を依頼しました。製作費用は、広告宣伝費として一時の費用にしてよいのでしょうか。
【答】通常の広告宣伝目的のホームページであれば、コンピュータのプログラムは組み込まれておらず、内容は頻繁に更新され、その効果は1年以上には及ばないと考えられますから、その製作費用は、一時の損金にして差し支えないと考えられます。 しかし、ホームページが企業の持っているデータベースや受注システムにアクセスできる機能を有する場合、製作費用の中に、データベース等にアクセスするためのコンピュータプログラム作成費用が含まれていると考えられます。 その場合、製作費用のうち、プログラム作成費用に相当する金額は、無形固定資産であるソフトウェアとして計上し、耐用年数5年の定額法により償却を行っていきます。
【問】住宅モデルハウスとは別に、住まいの情報館を建築し、内部に設計提案のためのIT設備、インテリア、室内装備等のサンプルを設置し、見込み客を案内して契約を獲得することを検討しています。その建物の耐用年数は、何年でしょうか。
【答】展示用モデルハウスは、建物として本来の用途に供されているものではなく、通常、給排水設備、衛生設備が使用できず、顧客に対して見本として観察させることのみに使用され、比較的短期間で取り壊すこと等から、耐用年数は、「簡易建物」の「仮設のもの」の7年を適用します。 住まいの情報館が、上記モデルハウスと同様の状況であれば、同じ7年を適用することができると考えられます。
【問】当社は同業社から営業譲渡により事業を引き継ぎましたが、引き継いだ物件のなかには、契約締結済みの未着工物件があり、譲渡代金の算定基礎には当該未着工物件完成よる予定利益も含まれていました。しかし、引き継ぎ間もなく、当該未着工物件の工事契約が解約になってしまいました。当社は譲渡会社に対し、解約物件に相当する譲渡代金の返還を請求することはできるでしょうか?
【答】解約の原因が譲渡会社の過失によるなど、譲渡前に存在していたものであれば、請求は可能であると考えます。しかし、譲渡会社に過失はなく、引き継ぎ後、譲受会社の対応のまずさから解約になったのであれば請求は難しいといえます。譲渡会社と譲受会社のどちらにも原因がなく、顧客側の理由による一方的な解約であれは、両社の話し合いにより請求の有無を決着するしかないといえます。このような事情の発生も考慮して、譲渡契約書には、その後の取り決めを記載しておくことが望まれます。
【問】帳簿等の書類は、何年間保存する必要があるのでしょうか?
【答】法人税法上、帳簿書類はその種類に関係なく、確定申告書の提出期限から7年間保存しなければなりません。 「帳簿」には、総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳など、「書類」には、棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などが含まれます。 帳簿書類の保存方法は、紙による保存が原則ですが、保存期間の最後の2年間については、一定の要件を満たすマイクロフィルムにより保存することができます。 ★また会社法上は、会計帳簿については法人税法よりも長い10年間の保存を定めており、領収書や請求書などの書類については、法人税法と同じ7年間の保存を定めています。 ★なお、欠損金の繰越期間が税制改正により延長された場合には、保存期間も延長される可能性があります。
【問】当社は、住宅総合メーカーです。戸建住宅の建築に際し、施主の金利負担をする代わりに、施主の配偶者とアドバイス契約を交わし、配偶者から住まいづくりのアドバイスをいただくとともに、これに対する報酬を支払うキャンペーンを考えています。 そこで、毎月の支払額を広告費で処理してもよろしいでしょうか?また、サービスの実績を積むことが不可能な場合でも広告費で処理してもよろしいでしょうか?
【答】アドバイス契約の報酬に見合うサービスの実績があれば、広告費で処理することに問題はありませんが、サービスの実績がなく形式のみの場合は、寄付金又は交際費として扱うことになると思われます。
【問】当社は、撮影機器の開発・製造を営む法人です。このたび新製品を市場に売り出すことになりました。通常当社の製品は、全て代理店を通して小売店に納品しているため、これまで当社が制度化していたリベートは全て代理店に対するものでしたが、今回は同業他社との競争において巻き返しを図る当社肝いりの新製品販売であるため、一部の大口消費者である小売店に代理店を経由せずに「特別リベート」を支払いたいと考えています。このような当社の直接の取引先でない相手先にリベートを支払う行為は税務上問題がありますか。
【答】ご質問のような特別リベートは、いわゆる「飛び越しリベート」と呼ばれるものですが、会社としてこのような特別制度を導入したい理由が明確であり、また当該リベートの算定が、対象となる大口小売店への適正な納入金額又は数量を元に行われているのであれば、たとえ間接的な取引先に対するリベートであっても通常の売上割戻しと実質的に変わらないといえますので、税務上問題になることはないと思われます。 この場合、通常リベートとは異なる制度となるわけですから、当該制度を導入する理由、特別リベートの対象となる相手先、同リベートの算定方法等を明確にし、あらかじめ社内で決裁をしておくことが良いでしょう。 ★法人税における売上割戻しの計上時期は以下のように取り扱われます。 (1)算定基準が販売価格又は数量によっており、かつ、その算定基準が相手方に明示されている場合 「販売した日の属する事業年度」となります。ただし、継続適用を要件に「売上割戻しの金額の通知又は支払をした日の属する事業年度」とすることができます。 (2)(1)以外の場合 「売上割戻しの金額の通知又は支払いをした日の属する事業年度」となります。ただし、継続適用を要件に以下の扱いが認められています。 ①事業年度終了日までに売上割戻しを支払うこと及びその算定基準が内部的に決定されている。 ②法人がその基準により計算した金額を当該事業年度の未払金に計上し、確定申告書提出期限(提出期限を延長している場合はその延長期限)までに相手方に通知する。 ★消費税における売上割戻しは対価の返還等として扱われ、それを行った時期は、法人税とほぼ同様の取り扱いとなります。
【問】当社は資本金1億円以下の株式会社です。前期に得意先が不渡手形を出し、銀行取引停止となったため、売掛金につき50%の貸倒引当金を計上しました。その後、取引を停止し回収されないまま1年以上経過しています。法基通9-6-3(1)取引停止後1年以上経過した場合に該当するものとして、当期に備忘価額を控除した残額を損金経理してよろしいでしょうか。
【答】損金経理することができます。 ただし、継続的な取引先の売掛債権であって、取引先の資産状況、支払能力等の悪化により、取引停止に至った場合に限ります。 なお、個別評価の貸倒引当金の計上の有無とこの通達の貸倒れ処理は、関係ありません。
【問】当社はA社の株式100株(1株当たり取得価額80,000円)を保有していましたが、A社が解散し残余財産の分配を受けました。1株当たりの分配額は72,000円で、分配時のA社の1株当たりの資本構成は、資本金等が50,000円、利益積立金額が22,000円でした。当社とA社との間には完全支配関係はありません。 残余財産の分配に際して税務上どのように処理すればよろしいでしょうか。
【答】残余財産の分配の日において、みなし配当及び株式譲渡損益を認識する必要があります。 (みなし配当の計算方法) みなし配当=残余財産の分配額-持分対応の資本金等の額 株式譲渡損益=持分対応資本金等の額-株式譲渡原価 ご質問の場合、1株当たりのみなし配当額を具体的に計算すると、以下のようになります。 みなし配当=72,000円(分配額)-50,000円(資本金等の額)=22,000円 株式譲渡損=50,000円(資本金等の額)-80,000円(取得価額)=30,000円 なお、受取配当金については、通常の配当と同様に益金不算入の適用があります。 法人税法では、解散会社が残余財産を分配する場合には、①残余財産を分配する旨及び分配の事由の生じた日、②1株当たりのみなし配当金額、を株主に通知することを義務づけています。実務上は、当該通知に基づき株式譲渡損益を算定することになると思われます。
【問】役員を定年により退任後、嘱託として勤務を継続する者に対し、役員退任時には退職金を支払わず、数年後の嘱託終了時に支払うことを予定しています。なお、役員就任時には、使用人分の打切り支給はなく、使用人期間及び役員期間の退職金を一括して支給する予定です。退職金支給時に損金経理することで税務上、認められますか。
【答】ご質問のような事情であれば、認められると考えます。 役員退職金の損金算入時期は、株主総会の決議等により金額が具体的に確定した日の事業年度、ただし、支払った日の事業年度においてその額を損金経理した場合も認められます。 この場合の手続としては、役員退任時の株主総会で退職慰労金を支給する旨、支給時期及び支給金額は内規や従来の慣例に従い妥当な範囲内で取締役会に一任する決議を行い、直後の取締役会において、支給時期は嘱託終了時、具体的な金額は支給時に改めて定める決議をしておくことが考えられます。 その後、嘱託終了時に、取締役会において具体的な支給金額を決議し支給すれば、支払った日の事業年度に損金経理することは認められると考えます。
【問】当社は、このたび、ISO規格(ISO9000)を取得しました。取得に係る申請、登録、審査費用はどのように取り扱えばよろしいでしょうか?資産計上すべきでしょうか?
【答】取得に係る各費用は、支出した日の属する事業年度の損金となります。 ISO9000規格は、国際標準化機構(ISO)によって制定された、品質システムに関する国際規格であり、当該規格の取得は法人の品質保証体制が一定の基準を満たしていることを意味します。ISO9000規格の性質は、以下のように考えられます。①譲渡することができず、取得によって超過収益力が生ずるものとは認められない。②法律に基づく独占的な権利ではない。③ISO9000の取得には、品質システムの具備に関する広告宣伝という要素がある。④規格取得後も毎年、適合の有無の審査が求められることから、繰延資産には該当しないと思われる。 これらの性質から、ISO9000規格の取得に係る各費用は、その支出した日の属する事業年度の損金の額に算入することとなります。
【問】当社の従業員が業務出張で貯めたマイレージについて、会社としてなんら管理は行っておりません。従業員がマイレージを利用して取得した無料航空券等は、本来、誰のものになるのでしょうか。また、税務上の取扱いはどうなるのでしょうか。
【答】業務出張により貯まったマイレージを利用して取得した無料航空券等のサービスは、本来的には当該法人に帰属すべきものと思われます。 法人の業務出張で貯めたマイレージから受ける無料航空券等のサービスを、法人が利用する場合は、支払った航空運賃の「値引き」に該当し、特に法人の税務上の問題はないと思われます。 一方、従業員が個人利用する場合は注意が必要です。法人名義のカードを利用して貯まったマイレージを個人利用する場合は、法人から個人に対して「経済的利益の供与」として「現物給与」課税される可能性が高く、また、個人名義のカードで法人経費を立替払いした際にマイレージが付与される場合は、「一時所得」としての課税上の問題が生じる可能性があります。ただし、一時所得は年間で50万円の非課税枠があります。
【問】当社は設計会社ですが、提出期日の社長の急病により消費税確定申告書に押印ができず、提出が2日遅れてしまいました。納付は期限内にしておりますが、無申告加算税は免れ得ないでしょうか?
【答】事実関係にもよりますが、社長の急病という正当な理由により、無申告加算税は課されないものと思われます。通則法66条1項ただし書は、期限内申告書の提出がなかったことについて正当な理由があると認められる場合には、無申告加算税を課さない旨を規定していますが、「正当な理由」とは、期限内申告書を提出しなかったことについて納税者の責めに帰すべき事由がなく、制裁を課すことが不当と評価されるよう場合を言うものを解されます。具体的には、災害、交通・通信の途絶等、その他期限内に申告書を提出できなかったことについて、真にやむを得ない事由がある場合が該当します。 また、正当な理由でなく、単に申告書の提出を失念した場合でも、申告期限から2週間以内の申告であれば、無申告加算税は課されません。 なお、この適用を受けられるのは、 ①期限後申告書の提出があった日の前日から起算して5年前の日までに、無申告加算税又は重加算税が課されたことがなく、 ②当該期限後申告書に係る税額の全額が法定納期限までに納付されていた場合です。
【問】社宅家賃を算定する場合、固定資産税の課税標準や建物の床面積を基準としてその一ヶ月あたり家賃を算定する方法が一般的だと思いますが、他に算定方法はないのでしょうか。
【答】合理的に算定する方法であれば、それも認められます。 会社の役員や従業員に対して社宅を貸与する場合には、その役員や従業員から一定額の家賃を受け取っていれば、家賃相当額について役員報酬や給与として課税されることはありません。 この一定額の家賃は、所得税法基本通達に従い、固定資産税の課税標準や建物の床面積をもとに算定していく方法が一般的ですが、立地、建物のグレード、設備の状況などの評価要素を決め、項目別にポイントをつけ、その合計に単価をかけて算定する方法も存在します。 ただし、その方法により算定した金額は、固定資産税の課税標準等をもとに算定した家賃相当額を下回らない水準にする必要があります。
【問】持ち家を貸し付けている役員に社宅を提供しました。 この社宅の賃料は役員社宅の通達に準拠して決定すれば問題ありませんか?
【答】この通達では、社宅を借りる役員に持ち家があるかどうかは条件とされていません。 役員に対して社宅を貸与する場合は、役員から1か月当たり一定額の家賃(賃貸料相当額)を受け取っていれば、給与として課税されません。 賃貸料相当額は、貸与する社宅の床面積により小規模な住宅とそれ以外の住宅とに分けて計算します。ただし、この社宅が、社会通念上一般に貸与されている社宅と認められないいわゆる豪華社宅である場合は、時価(実勢価額)が賃貸料相当額になります。 ご質問の場合、役員社宅の通達(所基通36-40~44)に準拠して決定すれば、給与課税されることはありません。
【問】このたび税務調査があり修正申告を行い納付も済ませました。その後延滞税などの通知があり、その中に利子税が含まれていました。この修正申告に伴う利子税は損金に算入できるのでしょうか。なお、当社は申告期限の延長の届け出を行っています。
【答】修正申告に伴う利子税も損金に算入できます。所得税の源泉徴収をする必要は有りません。 申告期限の延長の届け出をした場合、延長された期間と金額に対応する利子税を支払う必要があります。法人税法上、延滞税、過少申告加算税等は損金不算入と規定されておりますが、この規定から利子税は除かれます。修正申告に伴う利子税について、損金に算入されないという特別な規定は無いので、損金に算入されると考えられます。なお、延滞税の計算に当たり利子税の計算期間は除かれることになっています。
【問】当社は照明設備の販売・施工をしております。建築コンサルタントの会社が施主や設計会社に当社の照明設備の採用を指定してくれた場合、一定の率によりリベートを支払います。当社の直接の取引先ではないのですが、支払手数料としてよいでしょうか、それとも税法上の交際費にすべきでしょうか。
【答】税法上の交際費に該当しません。
建築コンサルタント会社がそのような紹介をすることは、本来の業務の一環とも言えるので税法上の交際費には該当しないと思われます。又たとえ紹介を業とするものでなくとも、次の3要件を満たしている場合であれば情報提供料として税法上の交際費に該当しません。
① 事前に契約書など紹介料の支払いの約束がある。
② 紹介の内容が明確で実際に紹介等の役務の提供を受けていること。
③ 紹介等の役務の提供に対し相当な対価であること。
措置法通達61の4(1)―8